境内地賃貸についてご報告
2021-12-24
遺族崇敬者の皆様には常日頃より特段のご厚志を賜り、厚く御礼申し上げます。大阪護國神社では、このたび境内地の賃貸を行う事といたしましたので、ここにご報告いたします。
1.護國神社を取り巻く状況について
当社は明治維新以降に国のために散華された十万五千余柱の英霊をお祀りしています。多くの府民の赤誠をもって創建された当社は、市内でも有数の規模を誇ります。英霊に対する尊崇の念は厚く、大東亜戦争終結後には境内に収まりきらないほどの御遺族関係者が英霊の慰霊顕彰におみえでした。
しかし、戦後76年が経ち、御遺族も高齢化をしてまいりました。そのためここ20年ばかりは神社の運営にも大きな影響が出ております。
当社としましては、将来にわたって護國神社の護持運営に支障を来さぬよう、様々な対策をとっておりますが、最盛期に比べて厳しい現状を変えることは容易ではありません。
さらに、昭和36年に建立された現在の社殿は、築60年となります。同時期に建てられた社務所など、主要な建物が軒並み老朽化しており、こちらの改修にも取り組んでいかねばなりません。幸い、建設時に丁寧に建てられた社殿は、まだ雨漏りが起きたり、ひび割れを起こしたりという事はありません。そのため、喫緊の問題ではありませんが、いずれにしろ御創建100年(令和22年)までには何らかの対策をとらねばならないと思われます。
一方、近年のバリアフリー化への要望による公衆トイレの改築や、新型感染症への対策(手水舎整備)など、境内整備も併せて考える時期となっており、今後は総合的に護國神社全体を見直していかねばならないと考えております。
以上のように、護國神社の運営はこれからますます厳しくなっていくことが予想されます。
2.当社の取り組み
この様な状況を鑑み、今後は新規事案に取り組んでまいります。
手始めに境内北側にあります儀式殿を解体撤去し、民間商業施設(ホームセンター)を誘致し、住之江会館の跡地と同区画を26年の定期借地権契約にてお貸しすることを決定いたしました。
もともと該当区画は本殿前からは死角になっております。さらに建築計画では、建屋の高さや広告看板を制限していただき、正面からは見えないように配慮いただくため、神社の景観を損ねることはありません。
工事の日程については別途ご案内いたしますが、儀式殿の利用は1月末までとし、同時に工事区画を立ち入り禁止とさせていただき、解体を始めます。解体後に建設に取りかかり、商業施設の開業は、令和5年初頭を見込んでおります。
3.今後の護國神社について
商業施設への貸出はあくまで一時的な処置であり、26年先とはなりますが、境内地は神社に戻していただきます。この間に、先にお示ししましたとおり、社殿の改修や境内整備などの事業に取り組むと共に、神社の運営改革も行ってまいります。
まず、相談中ではありますが、遺族連合会の事務局に、護國神社に戻っていただけないかとお話しをさせていただいております。住之江会館解体に伴い、残念ながら他所に御引っ越しいただいておりましたが、やはり遺族会の事務局は護國神社と共にあるべきと考えております。
また、まだ計画段階ではありますが、祖先祭祀に力を入れ、祖霊社「ほまれの宮」を独立させて社前で祭事を行えるようにいたします。これに伴い、承継者のおいでにならない方のため、当社が永代にわたって祭祀を行ってまいります。
その他にも、所蔵文庫の公開や資料の展示なども検討しており、遺族以外の方々にも神社に興味関心を持っていただけるよう、神社に賑わいが戻るよう、企画していきたいと考えております。
昨今のコロナ禍の影響もあり、当社を取り巻く状況は大変厳しい物があります。時代の変遷もあり、護持運営にあたる神社側の対応は変わらざるを得ません。しかし、護國の英霊に対する慰霊顕彰は今後も変わらず続けていかねばなりません。
上記にお示ししました計画は、当社のみで実現することは難しく、遺族・崇敬会を始め、参詣者の皆様にも是非ともお力を貸していただければと思います。先の長い話であり、先の見えない状況ではありますが、護國神社を大切に思ってくださる皆様の御協力をどうか宜しくお願いいたします。
大阪護國神社
宮司 藤江正鎭
※一連の計画は大筋がまとまり次第「令和の境内整備計画(案)」として、改めて皆様にご報告させていただきます。